ベイヒルズ社労士事務所便り2020年11月号「準備は進めていますか?来年1月1日より子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得ができるようになります 」
準備は進めていますか?来年1月1日より子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得ができるようになります
◆「子の看護休暇」制度とは?
育児介護休業法により、小学校就学前の子を養育する労働者は、事業主に申し出ることにより、1年度において5日(その養育する小学校就学の始期に達するまでの子が2人以上の場合にあっては、10日) を限度として、子の看護休暇を取得することができます。
なお、取得できる労働者として、日々雇い入れられる労働者が除かれるほか、一定の労働者を労使協定で対象外とすることができます。
◆「介護休暇」制度とは?
育児介護休業法により、要介護状態にある対象家族の介護や世話をする労働者は、事業主に申し出ることにより、1年度において5日(その介護、世話をする対象家族が2人以上の場合にあっては、10日)を限度として、介護休暇を取得することができます。
取得できる労働者の要件は、子の看護休暇と同じです。
◆何が変わる?
子の看護休暇・介護休暇の取得単位は、1日単位または半日単位(1日の所定労働時間の2分の1。労使協定により異なる時間数を半日と定めた場合には、その半日)とされていますが、令和3年1月1日より、1時間単位での取得が可能となります。
◆何が必要?
育児介護休業規程の見直しが必要となります。さらに、子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得は、原則始業時間もしくは終業時間に連続するかたちで取得させればよいこととされていますが、厚生労働省では法を上回る措置として、いわゆる「中抜け」を認める制度とすることを求めています。規程の見直しにあたっては、中抜けを認めることとするかどうかの検討が必要です。
また、時間単位取得が困難な業務がある場合は、労使協定により、その業務に従事する労働者を対象労働者から除外することができるため、該当する業務がある場合は、労使協定の締結も必要となります。
また、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者には、半日単位での取得をさせなくてもよいこととされていますが、令和3年1月1日より、1時間単位での取得ができることとなります。
コロナ禍で増える自転車通勤…… 企業に義務付けられる対応を改めて確認しておきましょう
◆コロナ禍で自転車通勤が増えている
コロナ禍の影響で、電車などの公共交通機関の利用を避ける観点から、自転車通勤が増えています。政府も、「環境問題や災害対応から推進する」と後押しする構えです。
従来、自転車通勤は、事故等への懸念から禁止する企業も多くありました。実際、2019年の統計によると、全国で発生している自転車関連事故数は年間8万件以上。一日平均200件以上の事故が起きている計算です。自転車通勤の要請が高まっている現状と、事故の多さを踏まえて、企業としては、改めて自転車通勤について検討し、対策を講じる必要があります。
◆条例への目配りも必要
自転車が関わる事故が多発していることを背景に、2020年4月、東京都は条例で、都民に自転車保険への加入を義務付けました。こうした動きは現在、15都府県・8政令都市が同趣旨の義務付け、11道県・2政令都市が努力義務としており、神奈川県でも2019年10月より義務付けが始まっています。
これらの条例では、自転車利用者に損害保険への加入を義務付けるだけでなく、事業者の責務として、自転車の業務使用時の損害保険への加入、従業員安全教育などを定めています。また、たとえば東京都では、事業者に対し、自転車通勤をする従業者に対する自転車損害賠償保険等への加入の有無の確認、確認ができないときの自転車損害賠償保険等への加入に関する情報提供も努力義務化されるなど、自転車利用を許可するに際しては条例への目配りも欠かすことができません。これらの内容を盛り込んだ自転車通勤規程を定めるなどして、管理を行うことが望まれます。
◆保険加入の確認時の注意点
なお、自転車事故に適用可能な保険として、個人賠償責任保険があり、自動車保険・火災保険・傷害保険などに特約として付帯することができますが、これは日常生活に起因する事故が対象であり、業務中の事故には適用がないことに注意が必要です。業務使用時の事故による賠償責任をカバーするには、企業賠償責任保険(施設賠償責任保険)や自転車の車体に付帯したTSマーク付帯保険に加入する必要がありますので、この点も確認しておきましょう。