ベイヒルズSR通信 8月号「企業のカスタマーハラスメント対策」「改正入管法等が成立 「育成就労制度」とは?」
企業のカスタマーハラスメント対策
顧客が企業やその従業員に対して行う不当な要求や迷惑行為(カスハラ)は、業務への支障はもちろん、従業員のパフォーマンスや健康状態等にも影響するため、対策が必要です。
厚生労働省・あかるい職場応援団の「職場におけるハラスメント対策(カスタマーハラスメント対策)」の研修動画資料(令和6年6月11日改訂)が参考となるので、以下で紹介します。
◆カスハラに該当する行為、判断基準、対応例
この資料では、具体的な該当行為として、以下の9つが挙げられており、それぞれ、「該当行為例」「判断基準例」「対応方針・対応例」「該当する可能性のある刑法犯」について示されています。
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- 長時間拘束型、
- リピート型、
- 暴言型、
- 暴力型、
- 威嚇・脅迫型、
- 権威型、
- 店舗外拘束型、
- SNS/インターネット上での誹謗中傷型
- セクシュアルハラスメント型
【例】
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- 長時間拘束型については、「居座り、長時間の電話など、顧客が正当な理由なく長時間従業員を拘束する」(該当行為例)
- 「商品・サービスに問題がない場合、約30分を目途に判断する」など(判断基準例)
- 「上位者に代わる(電話応対時、来店時)」など(対応方針・対応例)
- 「監禁罪刑法220条(3年以上7年以下の懲役)・一定の場所から移動の自由を奪う行為」など(該当する可能性のある刑法犯)
◆カスハラ対策の基本的な枠組み(事前準備・事後対応)
企業はあらかじめカスタマーハラスメントを想定した準備、実際に起こった際の対応を検討しておくことが望まれます。
【ハラスメント行為を想定した事前準備】
① 事業主の基本方針・基本姿勢の明確化
② 従業員への周知・啓発→従業員(被害者)のための相談対応体制の整備
③ 対応方法、手順の策定
④ 社内対応ルールの従業員等への教育・研修
【ハラスメント行為が実際に起こった際の対応】
① 事実関係の正確な確認と事案への対応
② 従業員への配慮の措置
③ 再発防止のための取組み
④ 前記までの措置と併せて、プライバシー保護や不利益取扱いされないことなどの措置
>>詳細リンクはこちらからご覧ください【厚生労働省・あかるい職場応援団「職場におけるハラスメント対策(カスタマーハラスメント対策)」】
改正入管法等が成立 「育成就労制度」とは?
6月14日に出入国管理及び難民認定法(出入国管理法)の改正案が参議院で可決・成立し、1993年に始まった技能実習制度は廃止され、新たに育成就労制度が創設されることになりました。
変更となる点についてまとめておきます。
【厚生労働省「改正法の概要(育成就労制度の創設等)」】より
◆育成就労制度の特徴
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- 特定技能1号の技能を有する外国人を育成するとともに、産業分野の人材不足解消を目的としています。
- 在留期間は、技能実習制度では最大で通算5年で、技能実習修了後は原則帰国でしたが、「育成就労制度」は、育成就労期間(原則3年)修了後の特定技能1号への移行がスムーズに行える枠組みとなっています。また、「技能実習制度」では認められていなかった転職(転籍)が要件を満たせば可能になります。
- 技能実習制度では、技能実習/特定技能それぞれの対象業種・分野の乖離していることが問題とされていました。今回の「育成就労制度」では、この受け入れについて特定技能1号と同じ業種・分野に限定される予定です。
- 悪質なブローカー対策として、不法就労させた場合の罪が厳罰化されます。また、当分の間、民間職業紹介事業者の関与は認めない方針です。
- 技能実習の監理団体が「監理支援機関」に名称変更となり、受け入れ機関の要件を適正化し、適切な受入れ・育成を実現するとしています。
◆制度の開始時期は?
育成就労制度は、公布から3年後の2027年から開始され、2030年までが移行期間となる見込みです。
>>詳細リンクはこちらからご覧ください【厚生労働省「改正法の概要(育成就労制度の創設等)」】
>>ベイヒルズSR通信(2024.8月号)PDF版はこちらからご覧ください