ベイヒルズSR通信2022年5月号「見直しておきたい企業の自転車管理」「アルバイトの労働条件は適切ですか?」
見直しておきたい企業の自転車管理
◆増えている自転車の業務利用
ご存じですか、5月は「自転車月間」です。
新型コロナウイルスの影響により、「運動不足解消のため」「満員電車の密を避けるため」「在宅の時間が増え、近所で用事を済ませるようになったため」などを理由に、自転車利用が増えています。
政府も積極的な自転車利用を推進しているところであり、自転車の通勤や業務での利用を認めるようになったという企業も多いのではないでしょうか。
一方で、自転車事故によって他人の生命や身体を害した場合に、加害者が高額の損害賠償を命じられる判決事例も、近年、相次いでいます。業務中・通勤途上の自転車事故については、使用の実態や事故発生時の状況により会社責任が問われることもあり、注意を要します。
◆「保険加入」の確認、できていますか?
特に注意して確認したいのは、自転車保険等への加入です。
被害者救済の観点から自転車保険等への加入促進を図るため、自転車活用推進本部(本部長:国土交通大臣)では「自転車損害賠償責任保険等への加入促進に関する標準条例」を作成・通知して、条例による自転車保険等への加入義務づけを要請しており、2021年4月1日現在、自転車保険等への加入について、義務とする条例が22都府県、努力義務とする条例が10道県で制定されています。
たとえば東京都や神奈川県では、自転車の利用者に対し、対人賠償事故保険への加入が義務化され、あわせて、自転車を業務で使用する事業者にも同様の義務が課されました。また、自転車を通勤に利用する従業員がいる事業者にも、自転車通勤者が保険に加入していることを確認する努力義務が課されています。
◆リスク管理のために
自転車の業務利用を許可制としている会社は多いと思われますが、許可に際して、対人賠償事故保険に加入しているかを確認することは、リスク管理上、必須といえます。許可基準として、「通勤/業務に使用する自転車に関する事故につき、損害賠償責任の保険金額が無制限の保険を契約していること」などが設けられているか、確認しましょう。
アルバイトの労働条件は適切ですか?
◆「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンが始まりました。
厚生労働省では、全国の学生等を対象として、4月1日から7月31日までの間、自らの労働条件の確認を促すことなどを目的とした「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを実施しています。この時期、新たにアルバイトを始める学生等は多く、いわゆる「ブラックバイト」等に悩まされないよう、周知・啓蒙するもので、実施開始から今年で8年目になります。
◆具体的な実施項目
(1) 厚労省の実施事項
大学等にリーフレットやポスターを送付し、新入学時のガイダンス等での配布やホームページへの掲載依頼、事業主団体への周知、各都道府県および政令市への協力依頼、弁護士や社労士等の関係士業団体等への周知・協力依頼を実施します。
(2) 各都道府県労働局の実施事項
大学等での出張相談を行ったり、各都道府県労働局および各労基署にある総合労働相談コーナーに「若者相談コーナー」を設置したり、また事業主等に対するリーフレットの配付等を行います。
◆労働条件の確認項目
- 労働条件の明示
- シフト制労働者の適切な雇用管理
- 労働時間の適正な把握
- 商品の強制的な購入の抑止とその代金の賃金からの控除の禁止
- 労働契約の不履行に対してあらかじめ罰金額を定めることや労働基準法に違反する減給制裁の禁止
◆事業主における注意・確認ポイント
- 書面による(メール等でプリントアウトができれば可)労働条件は用意しているか
- 勤務シフトの設定は適切か
- 労働時間は適切か
- 商品の強制購入はさせていないか
(代金を賃金から控除することも禁止) - 遅刻や欠勤に伴う損害賠償や労基法に違反する減給はしていないか
このキャンペーンに伴い、事業主は改めてこれらの点を確認しておく必要があります。