ベイヒルズ社労士事務所便り2022年3月号「3月スタート!? 子どもへのコロナワクチン接種でわかっていることとは?」「2022年の確定拠出年金はどう変わる」「令和3年分一般職業紹介状況と今後の採用活動」
3月スタート!? 子どもへのコロナワクチン接種でわかっていることとは?
◆休園・休校が大幅に増加
感染拡大により、保育所等の全面休園は777(2月3日時点)、公立学校の全面休校は1,114(1月26日時点)となっています。そのため、5~11歳の子どもを新たに新型コロナワクチンの接種対象に加えることが決定されました。
◆早ければ3月頃から接種開始
厚生労働省の1月28日付資料によれば、2月下旬に5~11歳用のファイザー社のワクチンの配分を開始し、予防接種法関係の改正を経て、早ければ3月頃から接種が可能になるとされています。
大人用とは異なる製品が使われるため、混同を避けるためとして、子ども専用の接種会場を設置する自治体もあります。
◆子どものワクチン接種で従業員が休まざるを得なくなったら?
厚生労働省の新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)では、子どものワクチン接種では保護者の同伴が原則とされるため、休暇や労働時間の取扱いについて次のような方法を検討してほしいとしています。
- 子の看護休暇の周知や要件緩和
- 失効年休積立制度などの活用
◆「子の看護休暇」とは?
育児介護休業法上、未就学の子を養育する労働者は、申出により、年間5労働日(子が2人以上の場合は10労働日)まで、子の看護または子に予防接種・健康診断を受けさせるために、1日単位または時間単位で休暇を取得できるとされています。事業主は、この申出を拒むことができません。
3月以降、従業員自身が3回目の接種を受けるケースも増えますから、業務に支障が出ないよう、早めに影響を見極めて対応を検討しておくとよいでしょう。
2022年の確定拠出年金はどう変わる?
確定拠出年金制度は、長期化する高齢期の経済基盤を充実できるよう、また、中小企業を含むより多くの企業や個人が制度を活用できるよう、制度の見直しが行われました。2022年度に施行される改正内容は次のとおりです。
◆受給開始時期の上限が75歳に延長
今年4月から企業型DCとiDeCoの老齢給付金の受給開始時期を60歳(加入者資格喪失後)から75歳までの間で、ご自身で選択することができます。
◆企業型DCの加入可能年齢の拡大
今年5月から、企業型DCに加入することができるのが現行の65歳未満→70歳未満の方まで拡大されます。ただし、企業によって加入できる年齢などが異なります。
◆iDeCoの加入可能年齢の拡大
現在、iDeCoに加入できるのは60歳未満の公的年金の被保険者ですが、今年5月から65歳未満に拡大されます。
◆企業型DC加入者がiDeCoに加入しやすく
現在、企業型DCに加入している方がiDeCoに加入するには、各企業の労使の合意が必要ですが、今年10月から原則加入が可能となります。
ただし、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金、これらの合計額がそれぞれ以下のとおりであることが必要です。また、企業型DCにおいて加入者掛金を拠出(マッチング拠出)している場合などには、iDeCoに加入できません。
【企業型DCに加入している方がiDeCoに加入する場合】
- 企業型DC事業主掛金(①)→55,000円以内
- iDeCo掛金(②)→20,000円以内
- ①+②→55,000円以内
【企業型DCと確定給付型(DB、厚生年金基金など)に加入している方がiDeCoに加入する場合】
- 企業型DC事業主掛金(①)→27,500円以内
- iDeCo掛金(②)→12,000円以内
- ①+②→27,500円以内
令和3年分一般職業紹介状況と今後の採用活動
◆有効求人倍率は3年連続低下
厚生労働省は、毎月ハローワークにおける求人、求職、就職の状況を取りまとめ、一般職業紹介状況として公表しています。
公表内容によれば、令和3年平均の有効求人倍率は1.13倍となり、前年の1.18倍を0.05ポイント下回っています。令和3年平均の有効求人は前年に比べ1.6%増、有効求職者は6.6%増となっており、コロナ禍による影響が長引いている状況が読み取れます。
◆直近の動き
一方、令和3年12月の数値をみると、有効求人倍率(季節調整値)は1.16倍となり、前月を0.01ポイント上回っています。有効求人(季節調整値)は前月に比べ1.8%増、有効求職者(同)は1.6%増、新規求人(原数値)は前年同月と比較すると12.2%増となっています。産業別では、製造業(34.6%増)、情報通信業(20.4%増)、運輸業・郵便業(16.2%増)、サービス業(15.1%増)などで増加となっているようです。
◆持ち直している業種も
感染拡大の状況が不透明な中、採用活動の急速な活発化は難しい状況ですが、既に感染拡大前を上回る水準となっている業種もあります。
このタイミングで優秀な人材の獲得に向けて戦略的に動く中小企業もあり、人材確保の課題は長期的にみると避けられないことが予想されます。今後の採用活動の方針を検討したいところです。