ベイヒルズ社労士事務所便り2021年5月号「職場における新型コロナウイルス集団感染事例にみる感染予防対策」
職場における新型コロナウイルス集団感染事例にみる感染予防対策
◆まん延防止等重点措置の適用地域が拡大
新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」の対象が、4月20日より新たに埼玉・千葉・神奈川・愛知の一部地域にも適用されました。3度目の緊急事態宣言も、東京・大阪・兵庫対象に発令される見通しとなりました。
特に、従来型より感染力が強いとされる変異株への感染が急速に拡大しています。神奈川県でも変異株感染者の割合が2月に5.6%、3月は9.8%だったのに対し、4月に入り30%超と急増しており、職場での感染等にも警戒が必要です。
◆職場での集団感染はどこで発生している?
厚生労働省がまとめた「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る職場における集団感染事例」では、次の4つの事例が紹介されています。
・事業場(執務室)
・事業場(休憩スペースや社員食堂等)
・事業場外(外勤時や移動時)
・事業場外(勤務時間外等)
◆執務スペース以外の感染対策
職場の集団感染発生の原因として、以下などがあげられます。
・多くの労働者が同時に休憩を取る
・更衣室の消毒が不十分
・食堂の飛まつ対策が不十分
対策としては、以下が効果的です。
・休憩時間等を分散する
・スペースの消毒を定期的に実施する
・入退室後の手洗い、手指消毒を徹底する
・食堂の使用可能な座席数を減らす
・食堂で会話をしない
・昼休み等の休憩時間に幅を持たせる
◆外勤時や移動時の感染対策
研修など宿泊を伴う業務において、集団活動や生活する場で密集していたことが原因で集団感染が発生したり、複数の労働者が車両で移動し、同乗した複数の労働者に感染が見つかったりしています。
対策としては、3密回避やマスクの着用、手洗い・手指消毒といった基本的な対策に加えて、日常生活用品の複数人での共用は避けるなどがあります。また、車両での移動についても、人との間隔を空け、マスクを着用し、換気を行うなどがあります。
◆勤務時間外等の感染対策
政府は4人以上の会食を行わないよう呼びかけていますが、就業時間後の飲み会などでの集団感染が発生しています。改めて一人ひとりが感染予防の行動をとるよう全員に周知することが求められます。
「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーン実施
◆4~7月は「アルバイトの労働条件を確かめよう!」
厚生労働省では、全国の学生等を対象として、4月から7月までの間、自らの労働条件の確認を促すことなどを目的としたキャンペーンを実施しています。この時期、新たにアルバイトを始める学生等は多く、いわゆる「ブラックバイト」等に悩まされないよう、周知・啓蒙するものです。
具体的には、以下が行われています。
① 都道府県による大学等での出張相談
② 学生たちにとって必要な知識を得るためのリーフレットの配布
③ 総合労働相談コーナーへの「若者相談コーナー」の設置
リーフレットはクイズ形式で、「遅刻時には罰金を支払うルールがある」「タイムカードに記録されている労働時間が切り捨てられた」「研修中の時給が最低賃金を下回っている」「辞めたいが、代わりの人を用意しないと辞めさせないと言われた」「採用後、急に一方的なシフト変更があった」などの問いに、いずれも労働法違反との答えを示しています。
◆この機会に事業主も確認を
重点的に呼びかけられているのは、以下の事項です。
① 労働条件の明示がされているか
② 学業とアルバイトが両立できるよう、適切な勤務シフトの設定がされているか
③ 労働時間が適正に把握されているか
④ 商品の強制的な購入の抑止と、その代金の賃金からの控除の禁止が守られているか
⑤ 労働契約の不履行に対してあらかじめ罰金額を定めることや、労働基準法に違反する減給制裁の禁止が守られているか
多くの事業主にとっては、どれも基本的な事項でしょう。しかし、これらが守られず、苦しい思いをしている学生アルバイト等からの訴えがあるのも事実です。違法となる行為が見逃されていないか、この機会にいま一度、確認をしておきましょう。
【「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施(厚生労働省)】