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ベイヒルズ社労士事務所便り2020年3月号「時間外労働上限規制2020年4月から中小企業も適用に」

時間外労働上限規制2020年4月から中小企業も適用に

◆4月から中小企業も適用に
「働き方改革」の下、昨年4月から大企業を対象に時間外労働の上限規制が始まりました。
時間外労働の削減については多くのメディアでも取り上げられてきており、各企業で多様な取組みがなされているところですが、いよいよ今年の4月から中小企業も規制の対象となります。
中小企業で猶予されていた月60時間を超える時間外労働の法定割増賃金率50%以上の規定についても、2023年から適用が始まりますので、長時間労働が常態化している会社において、残業時間削減の取組みは、経営上無視できない問題となっています。

◆労働時間は減少傾向に
実際、労働時間自体は全体的に減少傾向にあるようです。直近の厚生労働省が2月に公表した毎月勤労統計調査令和元年分(速報)によると、労働時間(1人平均)は総実労働時間 139.1 時間と前年比2.2%減となったそうです(うち、所定内労働時間は128.5 時間(同2.2%減)、所定外労働時間は10.6 時間(同1.9%減))。どの程度実態が伴っているものなのかはわかりませんが、残業時間の上限に法的規制が加えられたことから、各企業で時間外労働等の削減に向けた取組みが進められていることは確かでしょう。

◆残業時間削減の取組み
残業時間削減の取組みとしては、「年次有給休暇取得促進の取組」、「従業員間の労働時間の平準化を実施」、「残業を事前に承認する制度の導入」、「従業員の能力開発の実施や自己啓発の支援」、「IT環境の整備」など様々なものがあります。
厚生労働省では、現在、中小企業の事業主に向けて「働き方改革」の特設サイトを設けており、残業削減等の取組み事例や関連の助成金の情報をまとめて紹介しています。各企業で時間外労働の原因や適切な対策は異なりますが、自社の現況を踏まえて対応可能なところから始めてみてはいかがでしょうか。
【厚生労働省「働き方改革特設サイト」】より

4月までに対応しましょう!「身元保証書」を求める際の留意点

◆2020年度の身元保証契約は要注意
素性や経歴を保証するとともに、従業員が会社に何らかの損害を与えた場合に連帯して賠償してもらうため、入社時には身元保証人を立ててもらっている、という会社は多いのではないでしょうか。そのような会社では、この春、「身元保証書」の見直しが必要です。
2020年4月より、「個人保証人の保護の強化」を目的として、極度額(上限額)の定めのない個人の根保証契約は無効とされます(改正民法465条の2)。
入社時の身元保証契約は、従業員が会社に損害を与えた場合に本人と連帯してその賠償を行うという連帯保証契約であり、保証人にとっては、従業員が、いつ、どのような責任を負うのかを予測することができないことから根保証契約に当たります。そのため、身元保証契約を締結する際には、賠償の上限(極度額)を定めておかなければなりません。

◆極度額の定め方
極度額の定め方については、例えば次のように、これまでの身元保証書に極度額を追加することが考えられます。
「同人の身元を保証し、同人が貴社に損害を与えた場合、貴社が被った損害を賠償する旨確約します(極度額○○○○円)。」
なお、実務上は、「極度額をいくらにするか」が問題となります。損害に対するリスクヘッジという観点からは、あまりに低額とすると実効性がなくなりますし、一方であまりに高額としてしまうと、連帯保証人が躊躇する等で手続きが進まないおそれもあります。
具体的に金額を明記する(「極度額は1千万円とする。」など)のがベストですが、例えば「極度額は従業員の月給の○○か月分とする。」などと定めることも考えられます。

◆「身元保証契約」締結の見直しも……
身元保証を求める会社は多いですが、実質的に形骸化しているケースも多くあります。対応を求められていることを機に、会社にとって身元保証契約を結ぶことが本当に必要であるのか、再検討してみましょう。

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