ベイヒルズ社労士事務所便り2021年11月号「令和2年度 監督指導による賃金不払残業の是正結果から」「くるみん認定・プラチナくるみん認定を受けた企業に助成金支給」
令和2年度 監督指導による賃金不払残業の是正結果から
◆支払われた割増賃金の平均額は650万円超
厚生労働省は、「監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和2年度)」として、労働基準監督署が監督指導を行い、令和2年度(令和2年4月から令和3年3月まで)に不払いとなっていた割増賃金が支払われたもので、支払額が1企業当たり合計100万円以上である事案を取りまとめて公表しました。
これによれば、是正企業数1,062企業(前年度比549企業の減)、対象労働者数は6万5,395人(同1万3,322人の減)で、支払われた割増賃金の平均額は1企業当たり658万円、労働者1人当たり11 万円にのぼりました。
◆割増賃金合計額は前年度比28 億5,454 万円減
業種別の企業数で比較すると、製造業が215企業(20.2%)、商業が190企業(17.9%)、保健衛生業が125企業(11.8%)と上位を占めています。支払われた割増賃金合計額 は69億8,614万円で前年度比28 億5,454万円の減と大幅に減少していますが、コロナ禍における様々な影響は当然無視できないところですので、今後どのような傾向となるかは引き続き注視する必要があります。
◆改めて労働時間管理の確認を
厚生労働省は、あわせて「賃金不払残業の解消のための取組事例」として企業が実施した解消策について以下のように紹介しています。
① 代表取締役等からの賃金不払残業解消に関するメッセージ(労働時間の正しい記録、未払賃金の申告)の発信
② 管理職に対する研修会の実施
③ 定期的な実態調査等
厚生労働省では、引き続き賃金不払残業の解消に向け、監督指導を徹底していくとしています。企業においても改めて適切な労働時間管理方法や自社の現況については確認したいところです。
【厚生労働省「監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和2年度)」】
くるみん認定・プラチナくるみん認定を受けた企業に助成金支給
◆くるみん認定制度とは
内閣府は、10月1日からくるみん認定・プラチナくるみん認定を受けた中小企業事業主に助成金を支給する「中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業」を開始しました。
くるみん認定制度とは、平成26年4月に改正された次世代育成支援対策推進法によって創設され、従業員の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業が申請を行うことによって「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受ける制度です。また、より高い基準を満たし継続的な取組みを行っている企業は、プラチナくるみん認定を受けることができます。
今年8月時点でのくるみん認定は3,660社、プラチナくるみん認定は451社となっています。
◆助成金の概要
本助成事業は、以下の要件を満たした中小事業主が助成を受けることができます。
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- 子ども・子育て支援法に規定する一般事業主(=事業主拠出金納付の事業主)であること
- 前年度または当年度(助成申請期間まで)において、くるみん認定を受けたこと
- 前年度の3月31日時点において、プラチナくるみん認定を受けていること
- 次世代支援対策推進法に規定する中小企業事業主(=常時雇用する労働者数300人以下の事業主)であること
くるみん認定については、1回の認定につき1回の助成(50万円/企業)が行われます。
プラチナくるみん認定を受けている企業は、認定が取り消されない限り、令和8年度まで毎年度、助成(50万円/企業)が行われます。
◆認定の取得方法
くるみん認定を取得するためには、一般事業主行動計画を策定し、都道府県労働局に届出する必要があります。届出後に一般事業主行動計画を実践し、目標達成した段階で認定を申請する必要があります。
一般事業主行動計画策定の流れや申請書様式は、厚生労働省のホームページでご確認ください。
【内閣府「くるみん認定・プラチナくるみん認定を受けた中小企業事業主に、助成金を支給します!」PDF】
【厚生労働省「一般事業主行動計画の策定・届出等について」】