「ベイヒルズ社労士事務所便り2018年10月号」を発行しました
「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」の一部改正
◆平成27年改正による「賞与に係る報酬」
厚生労働省の通知「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」の中で、報酬と賞与の取扱いが定められています。大まかに言って、年間を通じて支払い回数が3回までのものは「賞与」、4回以上のものは「報酬」とされています。それぞれ「標準賞与額」、「標準報酬月額」として保険料算定の基礎にされます。
しかし、事業者の中には保険料を安くするために、特殊な賞与の支払い方をする例がありました。例えば、年間100万円の賞与を2.回にわけて支払うと標準賞与額100万円として保険料が算定されますが、100万円を12分割し、6月と12月だけ多く支払い、その他の月は500円支払うとします。そうすると、その賞与は「報酬」になり、かつ「随時改訂」の規定により算定され、年間の保険料は標準賞与額によるものより安くなります。「随時改訂」が3カ月平均で求めることを逆手に取っているわけです。
これを防ぐため、平成27年改正により、1年間を通じ4回以上支払われる賞与は「通常の報酬」ではなく「賞与に係る報酬」として、1年間の支払い合計額の12分の1を報酬額とすることとされました。
◆今般の改正による「通常の報酬」、「賞与に係る報酬」、「賞与」の明確化
平成30年7月30日に出された通知によると、上記の通知に下記の2点が加わりました。
(1) 通知にいう「通常の報酬」、「賞与に係る報酬」及び「賞与」は、名称の如何にかかわらず、二以上の異なる性質を有するものであることが諸規定又は賃金台帳等から明らかな場合には、同一の性質を有すると認められるものごとに判別するものであること。
(2) 通知にいう「賞与」について、7月2日以降新たにその支給が諸規定に定められた場合には、年間を通じ4回以上の支給につき客観的に定められているときであっても、次期標準報酬月額の定時決定(7月、8月又は9月の随時改定を含む。)による標準報酬月額が適用されるまでの間は、賞与に係る報酬に該当しないものとすること。
厚生労働省の示すQ&Aによると、本通知の趣旨は、従前の通知に示す取扱いをより明確化し徹底を図ることです。具体的には、
(1)については、諸手当等の名称の如何に関わらず、諸規定又は賃金台帳等から、同一の性質を有すると認められるもの毎に判別するものであること
(2)については、諸手当等を新設した場合のような支給実績のないときに、翌7月1日までの間は「賞与」として取り扱うものであること
とされています。
本通知は、周知期間を確保するため、発出から半年の周知期間を設けていますが、本通知の適用日以降に受け付けた届書から本通知による取扱いを適用することとされており、適用日前に受け付けた届書の内容を見直すことは要しないとされています。
中小企業庁が人材育成プラットフォーム「ビジログ」を提供開始
◆中小企業庁が中小企業向けの学習プラットフォームを公開
中小企業庁は、8月20日から、EdTechを活用した時間や場所にとらわれない多様な学びのスタイルの提供の場として、中小企業従業員向けの人材育成プラットフォーム「ビジログ」を公開しています。
【参考サイト】
ビジログ https://busilog.go.jp/
◆中小企業でも人材育成が求められている
昨今、人材育成の必要性が叫ばれているところですが、実際に人材育成に取り組んでいる中小企業はまだまだ少ないのではないでしょうか。
変化の激しいビジネスの現場において、社員の人材育成は中小企業にとっても大きな要素となっていますが、投入できる人員や時間、資力もない中小企業にとっては、どうしても後回しになってしまいがちです。
◆無料で受講できる
「ビジログ」のサイトによれば、ビジログでは、将来、企業の事業活動の中核的な役割を担う人材に必要な「専門知識」やその土台となる「キャリア・オーナーシップ」と「社会人基礎力」を学ぶためのコンテンツが用意されており、それぞれ以下のような形式で提供されます。
・ウェブ型(受講時間:3~10分、 受講方法:PC・スマホなど)
・双方向ライブ型(受講時間1時間半、受講方法:PC・スマホなど)
・ワークショップ型(受講時間:6~7時間、受講方法:集合・座学)
これらの受講は無料となっているそうです。
まだ公開されたばかりで、これから随時情報が提供されるようですが、動画受講のイメージなども確認できますので、一度のぞいてみてはいかがでしょうか。