「ベイヒルズ社労士事務所便り2017年12月号」を発行しました
中小企業の7割近くが「賃上げ」を実施、その理由とは?
◆企業規模別の調査
10月下旬に、経済産業省より平成29年「企業の賃上げ動向等に関するフォローアップ調査」の結果が発表されました。
この調査は「大企業調査」と「中小企業調査」にわかれており、前者は東証一部上場企業2,001社に調査票を送り364社が回答(回答率18.2%)、後者は中小企業・小規模事業者30,000社に調査票を送り8,310社が回答(回答率27.7%)しています。
◆中小企業が積極的に賃上げを実施
平成29年度に常用労働者の賃上げを実施した大企業は89.7%(前年度90.1%)、正社員の賃金を引き上げた中小企業・小規模事業者は66.1%(前年度59.0%)となりました。
前年度と比較すると、中小企業が積極的に賃上げを行っている傾向がうかがえます。
◆中小企業が賃上げを実施する理由は?
中小企業・小規模事業者が賃上げを実施した理由について、ベスト5は以下の通りとなっています。
(1)人材の採用・従業員の引き留めの必要性(49.2%)
(2)業績回復・向上(34.3%)
(3)他社の賃金動向(21.6%)
(4)最低賃金引上げのため(11.4%)
(5)業績連動型賃金制度のルールに従った(15.3%)
◆賃金規定、人手不足に関する状況
なお、中小企業・小規模事業者において、賃金表等を含む賃金規定を「持っている」と回答した割合は61.0%でした。
また、「人手不足・人材不足」を感じていると回答した割合は66.4%、採用活動の方法については「ハローワーク」が最多(78.7%)となっています。
来年1月から労働者の募集や求人申込みの制度が変わります!
◆3月に改正法が成立
平成29年3月31日に職業安定法の一部の改正を含む「雇用保険法等の一部を改正する法律」が成立しました。職業安定法の改正については、平成29年4月1日、平成30年1月1日、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日の3段階で施行されます。
今回は、来年1月1日から施行される、労働者の募集や求人申込みの制度の主な変更点についてご紹介いたします。
◆労働条件の明示について
ハローワーク等へ求人申込みをする際や、ホームページ等で労働者の募集を行う場合は、労働契約締結までの間、業務内容や契約期間、就業時間、賃金といった労働条件を明示することが必要ですが、今回の改正で、当初の労働条件に変更があった場合、その確定後、「可能な限り速やかに」、変更内容について明示しなければならなくなりました。
面接等の過程で労働条件に変更があった場合は、速やかに求職者に知らせるよう配慮が必要になります。
◆最低限明示しなければならない労働条件等
労働者の募集や求人申込みの際には、書面の交付によって明示しなければならない労働条件が定められていますが、今回の改正で、「試用期間」、「裁量労働制(採用している場合)」、「固定残業代(採用している場合)」、「募集者の氏名または名称」、「雇用形態(派遣労働者として雇用する場合」)の明示が追加事項とされました。
◆変更明示の方法
以下のような場合には、変更の明示が必要となりました。
(1)「当初の明示」と異なる内容の労働条件を提示する場合
例)当初:基本給30万円/月 ⇒ 基本給28万円/月
(2)「当初の明示」の範囲内で特定された労働条件を提示する場合
例)当初:基本給25万円~30万円/月 ⇒ 基本給28万円/月
(3)「当初の明示」で明示していた労働条件を削除する場合
例)当初:基本給25万円/月、営業手当3万円/月 ⇒ 基本給25万円/月
(4)「当初の明示」で明示していなかった労働条件を新たに提示する場合
例)当初:基本給25万円/月 ⇒ 基本給25万円/月、営業手当3万円/月
なお、変更内容の明示については、「変更前と変更後の内容が対照できる書面を交付する」、「労働条件通知書において、変更された事項に下線を引いたり着色したり脚注を付けたりする」など、求職者が変更内容を適切に理解できるような方法で行う必要があります。
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